
Guide 2: 日本で使われる編み図記号[基礎編]
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日本の編み図と編み図記号
Guide 1では、日本のかぎ針編みパターンが、記号を使った図形「編み図」によって表されることについて触れました。
日本の編み図は、統一された記号体系によって成り立っているという特徴がありましたね。
このような記号は「編み図記号」と呼ばれ、言葉の壁を越えて編み方を理解することができる非常に便利なものです。
この Guide 2 では、日本の編み図で使用される、かぎ針編みの基本的な編み図記号を10個ご紹介します。
単体の編み図記号
編み図記号には、1つのステッチを表す単体の記号(例:くさり編み、こま編み、長編みなど)と、反復的な操作から1つのステッチが成り立っている記号(模様編みなど)があります。
まずは、もっとも基本的な単体の編み図記号を見ていきましょう。
まずは、もっとも基本的な単体の編み図記号を見ていきましょう。
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くさり編み |
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引き抜き編み |
chain (ch) | slip stitch (sl st) | ||
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こま編み |
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すじ編み |
single crochet (sc) | single crochet back loop only (scblo) | ||
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中長編み |
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長編み |
half double crochet (hdc) | double crochet (dc) | ||
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長々編み |
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三つ巻き長編み |
treble crochet (tr) | double treble crochet (dtr) | ||
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糸をつける |
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糸を切る |
attach yarn | cut yarn |
これらは日本の編み図に使われる基本的な編み図記号です。
このような編み図記号が編み図の中でどのように使われるかご説明していきます。
このような編み図記号が編み図の中でどのように使われるかご説明していきます。
・くさり編み
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「くさり編み」の編み図記号![]() |
ほとんどの編み図に登場する「くさり編み」記号。
編みはじめる際の「作り目のくさり」や、毎段の編みはじめの「立ち上がりのくさり」などに使われ、それ以外にも模様編みを構成したり、様々な使われ方をする頻出の編み図記号です。
英文パターンでは「chain (ch)」と表記されます。

ex. この編み図は次のような解釈になります。
【作り目】
作り目のくさりを6目編む。
↓
【1段目】
立ち上がりのくさりを3目編み(長編み1目とみなす)、つづけて長編みを5目編む。
↓
【2段目】
立ち上がりのくさりを3目編み(長編み1目とみなす)、つづけて長編みを5目編む。
【1段目】
立ち上がりのくさりを3目編み(長編み1目とみなす)、つづけて長編みを5目編む。
↓
【2段目】
立ち上がりのくさりを3目編み(長編み1目とみなす)、つづけて長編みを5目編む。
・引き抜き編み
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「引き抜き編み」の編み図記号![]() |
こちらも登場頻度が高く、輪編みの作品には必ずと言っていいほど使われる「引き抜き編み」記号。
輪編みでは、段の編み終わりで最初の目に針を入れて引き抜き編みをすることで、その段の最初の目と最後の目とをつなぎ合わせます。
英文パターンでは「slip stitch (sl st)」と表記されます。

ex. この編み図は次のような解釈になります。
【作り目】
わの作り目で編みはじめる。
↓
【1段目】
立ち上がりのくさりを1目編み(1目とみなさない)、つづけてこま編みを6目編んだら、最初のこま編みの目に針を入れて引き抜き編みをする。
↓
【2段目】
編み図にある「V」は、「こま編みを2目編み入れる」ことを表す編み図記号です(後のレッスンで取り上げます)。
立ち上がりのくさりを1目編み(1目とみなさない)、つづけて前段のすべての目にこま編みを2目ずつ(1周でこま編みを12目)編み入れたら、最初のこま編みの目に針を入れて引き抜き編みをする。
なお、この編み図は、次に紹介する「こま編み」を輪に編んだときの編み図です。
・こま編み
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「こま編み」の編み図記号![]() |
かぎ針編みのバッグやあみぐるみなどの編み図に頻出の「こま編み」記号。
かぎ針編みの代表的な編み方の一つで、× や + の記号で表されます。
長編みや中長編みなどは立ち上がりのくさりが1目とカウントされますが、こま編みで編みはじめるときは、立ち上がりのくさりがこま編み1目とみなされません。
英文パターンでは「single crochet (sc)」と表記されます。

ex. この編み図は次のような解釈になります。
【作り目】
作り目のくさりを6目編む。
↓
【1段目】
立ち上がりのくさりを1目編み(1目とみなさない)、つづけてこま編みを6目編む。
↓
【2段目】
立ち上がりのくさりを1目編み(1目とみなさない)、つづけてこま編みを6目編む。
・すじ編み
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「すじ編み」の編み図記号![]() |
「すじ編み」は、編み方はこま編みと同じで、目の拾い方だけが異なります。
こま編みは前段の目の頭を2本拾って編みますが、すじ編みは前段の目の向こう側1本だけを拾って編みます。このとき拾わなかった1本が横筋のように見えます。
ここでは、こま編み記号の下に1本の横線が入った記号を「すじ編み」記号としてご紹介しています。
この横線の上にある記号が、長編み記号であれば「長編みのすじ編み」、中長編み記号であれば「中長編みのすじ編み」となります。
英文パターンでは、こま編みのすじ編みは「single crochet back loop only (scblo)」もしくは「single crochet front loop only (scflo)」と表記され、前段の目のどこの糸(loop)を拾って編むかが明示されています。
前段の目の向こう側1本を拾って編む場合は「back loop only」、手前側1本を拾って編む場合は「front loop only」と、目の拾い方が明確です。
それに対し、日本のすじ編み記号の場合は、基本的には前段の目の向こう側1本を拾って編む「back loop only」となります。
これがもし仮に、手前側1本を拾って編む「front loop only」を示している場合でも、編み図では同じ記号で表されます。
時にはこれが、2段目は前段の目の向こう側1本を拾って編み、3段目は手前側1本を拾って編む、というように登場する箇所によって編み方が異なるケースなどもあります。
このように、すじ編み記号が異なる編み方を表している場合、編み図記号を見ただけでは編み方が判別できません。
そのため、こういったケースでは、編む方が迷わないよう、必ず補足テキストによる編み方解説が書き添えられています。
日本の編み図にある補足テキストは、このようなポイントに触れていることがありますので、見落とさないよう気をつけてください。

ex. 補足テキストがない場合、この編み図は次のような解釈になります。
【作り目】
作り目のくさりを6目編む。
↓
【1段目】
立ち上がりのくさりを1目編み(1目とみなさない)、つづけてこま編みを6目編む。
↓
【2段目】
立ち上がりのくさりを1目編み(1目とみなさない)、前段の目の向こう側1本を拾って、すじ編みを6目編む。
↓
【3段目】
立ち上がりのくさりを1目編み(1目とみなさない)、前段の目の向こう側1本を拾って、すじ編みを6目編む。
次に、もう1つ別の例をあげてみます。
こちらは、輪編みの編み図に登場する、こま編みのすじ編み記号の例です。

ex. 補足テキストとして、※に「2段目のすじ編みは、前段の目の手前側1本を拾って編む」という指示がある場合、この編み図は次のような解釈になります。
【作り目】
わの作り目で編みはじめる。
↓
【1段目】
立ち上がりのくさりを1目編み(1目とみなさない)、つづけてこま編みを6目編んだら、最初のこま編みの目に針を入れて引き抜き編みをする。
↓
【2段目】
立ち上がりのくさりを1目編み(1目とみなさない)、つづけて前段の目の手前側1本を拾ってすじ編みを2目ずつ(1周で12目)編み入れたら、最初のこま編みの目に針を入れて引き抜き編みをする。
・中長編み
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「中長編み」の編み図記号![]() |
目にふっくらとした厚みが出る「中長編み」。
中長編みの目の高さは、こま編みの約2倍が目安で、立ち上がりのくさりも通常2目編みます。
そして中長編みは、立ち上がりのくさりが最初の中長編み1目とカウントされます。
中長編みは玉編みなどの模様編みにも使われ、そのような模様編みの記号は、中長編み記号を複数組み合わせたようなデザインをしています。
英文パターンでは「half double crochet (hdc)」と表記されます。

ex. この編み図は次のような解釈になります。
【作り目】
作り目のくさりを6目編む。
↓
【1段目】
立ち上がりのくさりを2目編み(中長編み1目とみなす)、つづけて中長編みを5目編む。
↓
【2段目】
立ち上がりのくさりを2目編み(中長編み1目とみなす)、つづけて中長編みを5目編む。
・長編み
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「長編み」の編み図記号![]() |
こま編みの約3倍の高さが出る「長編み」。
立ち上がりのくさりは通常3目で、立ち上がりのくさりが長編み1目とカウントされます。
長編み記号は、かぎ針編みのモチーフや、薄手の編み地をいかしたウェア、レース編み、方眼編みなど幅広いパターンに登場し、長編みがベースになった模様編みの編み図記号もたくさんあります。
英文パターンでは「double crochet (dc)」と表記されます。

ex. この編み図は次のような解釈になります。
【作り目】
わの作り目で編みはじめる。
↓
【1段目】
立ち上がりのくさりを3目編み(長編み1目とみなす)、つづけて長編みを14目編んだら、立ち上がりのくさりの3目めに針を入れて引き抜き編みをする。
↓
【2段目】
立ち上がりのくさりを3目編み(長編み1目とみなす)、前段の立ち上がりのくさりの3目めに針を入れて、長編みを1目編む。つづけて前段の長編みの目すべて(14目)に長編みを2目ずつ編み入れ、立ち上がりのくさりの3目めに針を入れて引き抜き編みをする。
・長々編み
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「長々編み」の編み図記号![]() |
こま編みの約4倍の高さが出る「長々編み」。
立ち上がりのくさりは通常4目で、立ち上がりのくさりが長々編み1目とカウントされます。
長編みと似た編み方をすることがイメージしやすい編み図記号です。
長編みよりもさらに高さを出せるステッチとしてレース編みに登場したり、模様編みや作品の形をバランスよく仕上げるために用いられたりもします。
英文パターンでは「treble crochet (tr)」と表記されます。

ex. この編み図は次のような解釈になります。
【作り目】
作り目のくさりを6目編む。
↓
【1段目】
立ち上がりのくさりを4目編み(長々編み1目とみなす)、つづけて長々編みを5目編む。
↓
【2段目】
立ち上がりのくさりを4目編み(長々編み1目とみなす)、つづけて長々編みを5目編む。
・三つ巻き長編み
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「三つ巻き長編み」の編み図記号![]() |
日本の編み図よりも海外のパターンで見かけることの多い「三つ巻き長編み」記号。
こま編みの約5倍の高さになり、作り目のくさりは通常5目です。
こちらも立ち上がりのくさりが三つ巻き長編み1目としてカウントされます。
レース編みの模様の一部として用いられたり、透け感のある編み地や、直線的な模様編みに使われたりします。
英文パターンでは「double treble crochet (dtr)」と表記されます。

ex. この編み図は次のような解釈になります。
【作り目】
作り目のくさりを6目編む。
↓
【1段目】
立ち上がりのくさりを5目編み(三つ巻き編み1目とみなす)、つづけて三つ巻き長編みを5目編む。
↓
【2段目】
立ち上がりのくさりを5目編み(三つ巻き編み1目とみなす)、つづけて三つ巻き長編みを5目編む。
・糸をつける
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「糸をつける」の編み図記号![]() |
新しく糸をつけて編みはじめるときに使われる記号です。
多色づかいの作品では、糸の色替えをする際に、別の色の糸をつける箇所を示すためにも使われます。
英文パターンでは「attach yarn」「join yarn」といった意味です。

ex. この編み図は次のような解釈になります。
【作り目】
作り目のくさりを6目編む。
↓
【1段目】
立ち上がりのくさりを2目編み(中長編み1目とみなす)、つづけて中長編みを5目編む。
↓
【2段目】
立ち上がりのくさりを2目編み(中長編み1目とみなす)、つづけて中長編みを5目編む。
↓
【3段目】
2段目最後の中長編みの目に針を入れて別糸をつけ、立ち上がりのくさりを1目編み(1目とみなさない)、つづけてこま編みを6目編む。
・糸を切る
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「糸を切る」の編み図記号![]() |
糸を切る位置を示している記号です。
多色づかいの作品で、別の糸に持ち替えて編む箇所で、これまで編んできた糸を切る、という指示でも使われます。
英文パターンでよく見かける「Fasten off and weave in ends.」に近い意味ですが、日本では、切った糸をループにくぐらせて引き締める(Fasten off)といった具体的な指示までは含まれていないニュアンスです。
英文にすると「cut yarn」が近いのではないでしょうか。

ex. この編み図は次のような解釈になります。
【作り目】
わの作り目で編みはじめる。
↓
【1段目】
立ち上がりのくさりを1目編み(1目とみなさない)、つづけてこま編みを6目編んだら、最初のこま編みの目に針を入れて引き抜き編みをする。
↓
【2段目】
立ち上がりのくさりを1目編み(1目とみなさない)、つづけて前段のすべての目にこま編みを2目ずつ(1周でこま編みを12目)編み入れたら、最初のこま編みの目に針を入れて引き抜き編みをする。
↓
2段目を編み終えたら糸を切る。
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このほかに、「糸をつける」「糸を切る」の記号の使われ方として、知っておくと役立つポイントをあげておきます。
それは、毛糸の色替えの際に、これまで使っていた糸を切らずに新しい糸をつけるのか、それとも、これまで使っていた糸を切ってから新しい糸をつけるのか、という記号の見分け方です。
この点は編み図記号を見れば明確ですが、例をあげてみますね。
まずは、これまで使っていた糸を切らずに新しい糸をつける場合の編み図の例です。

この例では、1段目を編んでいた糸は、そのあと3段目でも使うため、1段目を編み終えても糸を切りません。
2段目は別糸で編むため、2段目の編みはじめ位置に「糸をつける」記号があります。新しくつけた糸で2段目を編み終えたら、再び1段目を編んでいた糸を使って3段目を編みます。
4段目を編む際も、2段目で使った糸を再び使用します。
これに対し、これまで使っていた糸を切ってから新しい糸をつける場合の編み図は、以下のような例があげられます。

この例は、1段目を編んだ糸はこのあとの段でもう使わないため、1段目を編み終えた時点で糸を切る、というケースです。
1段目に使った糸を切ると同時に、2段目を編むための別糸をつけるので、「糸を切る」「糸をつける」の2つの編み図記号が、1段目の編み終わり位置に記されています。
また、3段目も別糸で編むため、3段目の編みはじめ位置に「糸をつける」記号が描かれています。
2段目と4段目は同じ糸を使って編むため、2段目でつけた糸を切る指示はなく、2段目から4段目に糸を渡して編んでいきます。
このような編み図記号は、多色づかいの作品などでよく目にしますので、ぜひ覚えておいてください。
まとめ
今回は、日本の編み図に登場する、最も基本的な単体の編み図記号を10種類取り上げ、編み図の例とともにご紹介しました。
実際の編み図はより複雑ですが、基本的な使われ方を理解したうえで、様々な作品の編み図に触れながら見慣れていってください。
次回 Guide 3 は、単体の編み図記号の第二弾となる内容です。編み方のバリエーションを広げてくれる様々な編み図記号を学びましょう。お楽しみに!